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株式会社いろあわせ 北川 雄士さんを訪ねてNEW

株式会社いろあわせ 北川 雄士さんを訪ねて
「魅力の再発見」をキーワードに、採用支援やイベントの企画運営、ブランディング支援など多彩なプロジェクトを手がける株式会社いろあわせの代表取締役・北川雄士さん。大手広告代理店からITベンチャーを経て、Uターン起業されるまでにはどんな物語があったのか。オフィスである築90年の古民家「teminca(てみんか)」で、新しい働き方のヒントを伺いました。


株式会社いろあわせ

〒522-0087
滋賀県彦根市芹橋2-4-6teminca
TEL:0749-20-6399
kitagawa@iroawase.co.jp

探しても見つからない 夢と自分を追い求めて

 私は滋賀県彦根市で生まれ育ちました。子どもの頃は体も小さく、クラスの男子にキン肉マンの技をかけられるような〝いじられキャラ〞。自分の意見を言うより、まわりを観察して場の空気を読むタイプでした。転機となったのは、高校で進学校に入学したこと。中学までいた〝ジャイアン〞のような存在がいない環境で、ツッコミのひと言が意外とウケたんです。初めて自分が場をつくる側に回って、高校デビューした感覚でしたね。
 
 ただ、「これがやりたい」という将来の夢がないことにはずっとコンプレックスを抱えていました。「夢を持て」「やりたいことを明確に」と言われるたび、夢のない自分はダメなんじゃないかと。大学時代は2回休学し、自分探しの海外バックパッカー旅に出かけたり、ベンチャー企業の長期インターンで飛び込み営業を経験したりもしました。その後、大手広告代理店に入社するも3年目に退職。インターンでお世話になったベンチャー企業に転職し、人事担当として社員数20名から250名へ拡大する一翼を担いました。そこで年間何百人という学生や求職者と出会うなか、実は多くの人が将来の夢を持っていないことに気づいたんです。だから私はこれまでの経験も踏まえ、学生には「やりたいことがわからなくてもいい。得意を伸ばしたり、ありたい姿を描いたりすることも成長につながるよ」と伝えています。

事業内容は、不確定 想いをさまざまなカタチに

▲オフィスである築90年の古民家「teminca」
 会社員をしながらも、いつか独立して自分でチャレンジしたいという気持ちはありました。実は、私の父も弟も、祖父も母方の祖父も、それぞれ異なる仕事で起業した初代創業者。そんな商売人の血が私にも流れていると思います。7年半勤めたベンチャー企業を辞める頃には「自分で商売するとしたら何ができるか」を考えまくっていました。結局やりたいことは見つからなかったのですが、こんな社会だったらいいなという想いだけはあって。常に高い成長を求められる競争社会に疑問を感じ、一人ひとりの〝いろ〞を大切にできる社会をつくりたいと考えていました。今でいう多様性ですね。

 そこで2015年に立ち上げたのが株式会社いろあわせです。会社設立の際にも事業内容は決まっておらず、「ひと・もの・まちの魅力の再発見」が唯一の軸でした。今も何屋さんかわからないくらい、いろんなことをやっているんです。採用広報支援や人材育成研修、WEBサイトや動画の企画・制作、謎解きイベントの開催、フリースクール運営、洋菓子店の運営、ひこにゃんディナーショーの企画なんていうのも。これらの共通点は、良いとこ探し。ひと・もの・まちの魅力はすでにあるのに気づかれず、伝わっていないところを解決しようとしています。社員の良いとこも探し、活かして、本人の「やってみたい」と会社の「できる」をかけ合わせたものが当社の事業です。設立から10年経ち、振り返ると自分自身が一番いろあわせに育ててもらったと感じています。

魅力とポテンシャルを秘めた地元・滋賀へUターン

 滋賀でUターン起業したのは、やりたいことが見つからなかった時「滋賀を面白くする」というテーマなら自分のなかで腹落ちしそうだと思ったから。ここには一生かけて掘れるだけのネタがあると感じたんです。以前は滋賀を「実家がある場所」としか思っていませんでしたが、Uターン前に滋賀に通うようになり魅力やポテンシャルを実感。さまざまな人と出会い、「滋賀って、こんなに面白い人がいるんや」と驚きました。滋賀は「都会と地方」「仕事と暮らし」のバランスが絶妙です。仕事もあるし、自然も近い。Uターン・Iターンで滋賀を選び、主体的に人生を面白くしている人も多い。そこに、滋賀ならではの人間味や文化の厚みが生まれていると思います。

 そんな滋賀で活躍される綾羽の皆さんに伝えたいのは、「変化の時代だからこそ、自分の価値観もアップデートしよう」ということ。もし自分とは違う価値観に出会ったら、まずは「なんでそう思うの?」と耳を傾けてみる。ちゃんと寄り添ってみるだけで、「そんなことを思っていたんだ」という新たな発見や、「じゃあこう変えてみたらどう?」という提案も生まれるはずです。世代も部署も越えて話し合えれば、組織はもっと柔軟に、強くなるでしょう。

 私自身も滋賀というフィールドで、たくさんの人の〝いろ〞を合わせながら、これからも一緒に面白がっていきたいと思っています。綾羽の皆さんとも、いつかどこかでご一緒できたらうれしいです。

▲temincaの障子には、ここを訪れた人の「こんな社会になったらいいな」という思いが書かれている
(2025年11月取材)

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