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一般社団法人しがごとまるごと 協力隊ネットワーク 藤田 彩夏さんを訪ねてNEW

一般社団法人しがごとまるごと 協力隊ネットワーク 藤田 彩夏さんを訪ねて
一般社団法人しがごとまるごと協力隊ネットワーク(以下、しがごとまるごと)の代表理事として、地域おこし協力隊のサポート事業などを行う藤田彩夏さん。また、都市農村交流を軸とした事業を展開する合同会社代表の顔も持っておられます。若くして地域の課題を見つけ、解決に向けてチャレンジすることになったきっかけとは。行動力の裏にある想いを聞いてきました。

一般社団法人しがごとまるごと協力隊ネットワーク

HP       :https://shigagoto.jp/

地域おこし協力隊として兵庫から滋賀へ移住

▲理事の藤田ゆりさんと共に活動中の隊員からの相談を受ける
 皆さんは「地域おこし協力隊」という言葉を聞いたことがありますか?これは最大3年間、都市部から過疎化の進む地域等に移住した隊員が、地域の問題解決や活性化のための活動に携わるという総務省が実施する制度です。2023年度の隊員数は全国で7200人。2026年までには1万人を目標として、各地域が取り組みを進めています。
 私は東近江市の地域おこし協力隊として2016年から3年間、様々なプロジェクトに関わってきました。もともとは兵庫の伊丹市出身ですが、空港がある町なので騒音がひどく、幼い頃から静かで自然豊かな田舎への憧れがありました。大学ではイネの研究をし、一度は大阪で就職するも、田舎暮らしへの願望がずっと消えずに地域おこし協力隊へ応募したのです。
 東近江市に移住した当初、考えていたのはニホンミツバチの養蜂体験ができる民泊の運営でした。はちみつ好きが高じてミツバチと自然を守るNPOに所属していたこともありますし、東近江市は地域ぐるみで自然に配慮しておりミツバチにやさしい環境なのもぴったりだと思いました。しかし1年やっていくなかでこの活動では地域を巻き込めていないと感じ、方向転換することに。2年目からは百済寺樽という地域に眠っていた歴史的資源である日本酒を掘り起こし、百済寺樽復活プロジェクトを立ち上げました。

経験者が隊員の悩みに寄り添い バックアップする仕組みを


▲現隊員のみなさんと
「しがポーズ」での集合写真
 百済寺樽という日本酒は、室町時代には幕府に献上していたという文献が残っています。でも450年前に寺が織田信長の焼き討ちに遭ってから、歴史も途絶えていました。地域のなかでは一部の歴史好きの方にしか知られていない史実でしたが、よそ者の私からはその存在はとても魅力的でこのお酒の復活に向けて動けば「みんなで一緒に地域おこしができる!」と思ったのです。そこから地域住民、お寺、農家、酒蔵、JA、自治体などを巻き込んで進めていきました。結果的に多くの方々と協働できたおかげでプロジェクトは成功し、現在も毎年酒米をつくって百済寺樽を仕込んでいます。
 
 東近江市が気に入った私は地域おこし協力隊の任期が終わった後も住み続けて、都市と農村の交流を目的とした合同会社を立ち上げて代表に就任。2024年には、同じ滋賀県の地域おこし協力隊OBOGと、「しがごとまるごと」を発足しました。というのも、国が地域おこし協力隊を増やそうとする一方、滋賀では現役の隊員をサポートする仕組みが十分には整っていなかったからです。私が隊員だった時も「これってどこに相談すればいいんだろう」という小さな悩みがたくさんありました。地域おこし協力隊は民間でも行政でもない狭間の存在なので、隊員特有の課題が出てくるのです。そこで当法人ではOBOGの経験を活かし、活動中の隊員からの相談受付や受入れを検討されている自治体などへの研修実施といったサポート事業を行っています。

ワクワクする気持ちをもとにまずは挑戦してみることが大事

 私が地域おこし協力隊の時から今まで大切にしているのは、自分のワクワクする気持ちです。百済寺樽復活プロジェクトを始めた当初も、地域おこしへの使命感というより、「お酒を復活させるって面白そう!」というワクワクのほうが勝っていました。そんな楽しい期待がプロジェクトメンバーにも伝わり、450年の時を超えて復活する原動力になったのだと思います。今では百済寺樽を飲んでくださる方も増えましたが、私たちの目的は利益を上げることではありません。百済寺が「東洋一の寺院」と呼ばれた昔のように賑わいを取り戻すことが目標です。
 また現在の活動については、これまでたくさんお世話になった地域の方々に自分も何か返せるものがあるんじゃないかと思ってやっています。恩返しというには大げさですが、地域活性化の一助になれたら嬉しいですね。
 皆さんも自分がワクワクすること、面白いと思えることが見つかったら、まずは行動してみてはいかがでしょうか。「しがごとまるごと」のメンバーは、何か声がかかった時に断ることがほとんどありません。様々な機会に対して「とりあえずやってみよう」という姿勢を持つことで、新しい可能性が開けてくるはずです。企業と一般社団法人では立ち位置が異なりますが、滋賀を盛り上げたい気持ちは同じだと思うので、ともに頑張っていきましょう。

       

 
(2025年2月取材)

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