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琵琶湖発 人間探訪

未来社会創生プロデューサー 二之湯 武史さんを訪ねて

未来社会創生プロデューサー 二之湯 武史さんを訪ねて
『戦後モデル』からの脱却をテーマに、これからの『最適化社会』へ改革していく新機軸を次々と打ち出されている二之湯さん。その活躍フィールドは幅広く、経済・経営・文化・教育・スポーツ・医療・観光・食など多岐にわたっています。今回はそんな二之湯さんの活動について、支援先の方々とも一緒にお話を伺いました。

「競争から共創へ」地域医療連携を図る

 私は現在の日本に大きな問題意識を持っています。世界的に見れば治安も良く、社会保障制度も充実して恵まれているはずですが、一人ひとりが希望や幸せを感じにくい世の中になっているのではないでしょうか。その原因は、昭和の成功体験からいまだ脱却できていないせいだと私は考えています。これからの時代は、個性や能力を引き出し、適材適所で創造的な仕事に就き、社会全体に富が分配されることで、みんなが幸せを実感できる社会づくりが必要です。

 そんな思いで改革を進めるひとつの分野に、医療・福祉があります。超少子化・超高齢化を迎える社会では、医療や介護の制度を維持することが困難になるからです。私が代表理事を務める「湖南メディカル・コンソーシアム」は、新しい医療・介護の仕組みを創るために発足したもの。大津・湖南両医療圏の109施設が参加する地域医療連携推進法人であり、全国でもかなり珍しい組織です。医療機関同士はライバル関係でもあるため、通常は手を組むことが難しいのです。

 それをなぜ滋賀県で実現できたかというと、ひとつは各医療機関に次世代への危機感があったこと。もうひとつは私自身が医療人ではなく、良い意味で専門的な見地に捉われなかったからかもしれません。私は滋賀県を盛り上げるため多方面で奮闘していますが、いずれも専門家ではないからこそ高い次元のビジョンに向かうことができると考えています。

滋賀県が誇る「琵琶湖」の楽しみ方を広げるために

 また観光やレジャーにおいては、まだ磨かれていない部分があると感じます。「滋賀といえば琵琶湖」とよくいわれますが、具体的に何があるでしょうか。私は実質的に琵琶湖を活用する可能性をもっと広げたいと考えていた頃、マリンレジャーを手がけるHORSEJAPANの馬野さんと出会いました。彼は「琵琶湖で水上アスレチックをやりたい」という夢を持ち、3年近く動いていたにも関わらず、漁業組合など各方面と折り合いがつかず実現できていなかったのです。

 私は馬野さんから水上アスレチックの話を聞いた際、「琵琶湖の魅力を伝える良いチャンスなので、絶対にやりましょう」と答えました。そこで地元企業と連携して協議会を立ち上げ、自治体など地元の方たちの理解を得るために奔走しました。そして2019年、各方面からの許可を得て、日本最大級の水上アスレチック「アドベンチャーウォーターパーク」がオープン。これまで築いてきた人脈や行動力を活かし、約1年で実現までこぎつけることができました。

 現在、水上アスレチックのある白ひげビーチには17社が集い、カフェ、キャンプサイト、バンガロー、SUPやカヌーといった多彩なアクティビティが楽しめる場となっています。今後も馬野さんのように「滋賀で新しいことがしたい!」と提案してもらえれば、私はどんどん協力したいと思っています。

奥深い滋賀の食文化を含め高付加価値型観光のまちへ

 もうひとつ観光資源として欠かせない〝食〞の分野では、「近江懐石清元」の清本さんと滋賀フードツーリズム推進協議会を通じて様々な企画を考えています。清本さんは京料理の世界で研鑽を積まれ、以前は「京懐石・京割烹清元」という屋号でした。しかし私は、なぜ滋賀県なのに京懐石の名を冠するのかという素朴な疑問があり、正直に伝えたことがあったのです。それがヒントになったのかどうかわかりませんが、現在は湖の幸、野の恵み、田の稔り、山の幸であるジビエ、発酵食品など、滋賀県特産の食材を採り入れ、屋号の冠も「近江懐石」に変えられました。例えば湖の幸では、岩床ナマズやビワマスなどを新鮮なお刺身でいただけます。山の幸では、希少価値の高いツキノワグマやイノシシの鍋。滋賀ならではの食材の持ち味を最大限に引き出した料理は、国内外の美食家たちを魅了しています。

 こうした滋賀の食文化には、京都や大阪などの近隣都市とは全く違う魅力があります。鮒ずしに代表されるように大衆的ではありませんが、美味しさを知ると非常に奥深い。和食を一通り食べた外国人観光客にも、「こんな世界があったのか」と驚嘆される可能性を秘めています。そんな食・文化・歴史・交流・体験を組み合わせ、今後も複合的に滋賀の価値を高めていくことが私の目標です。現状を打破し、新たな価値を創造できるよう、ぜひ一緒に取り組んでいきましょう。


 
地域医療連携推進法人
湖南メディカル・コンソーシアム


https://www.konan-mc.or.jp/

理事・事業局 局長 䕃山 裕之さん


 
 大津市、草津市、栗東市、守山市、野洲市域において、滋賀県が進める地域医療構想と地域包括ケアシステムの実現を目指し、切れ目のない医療・介護サービスを安定的に提供できるよう取り組まれています。





 
株式会社HORSE JAPAN

https://www.horse-sealver.com/

代表 馬野 友秀さん




 
 「マリンレジャーの楽しさを一人でも多くの人に伝えていきたい」と、滋賀県高島市の白ひげ浜水泳場を中心に、フライボード、バナナボート、水上アスレチック、BBQサイトなど琵琶湖の魅力を満喫できる多彩なアクティビティを提供されています。




 
近江懐石 清元

https://www.kiyomotorou.jp/

主人 清元 健次さん





 
 京料理を通して習得した卓越した技能を、滋賀県特産の食材で作る近江懐石として昇華。季節感を表現する日本料理の伝統に独創的なアレンジを加え、琵琶湖を擁するこの地でしか味わえない料理を追求されています。






 
(2024年4月取材)

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