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シャボン玉名人 鯰江 作弘さんを訪ねて

シャボン玉名人 鯰江 作弘さんを訪ねて
「わぁ~!」と大きな歓声があがる。大人も子どももキラキラした目で追うのは、今まで見たことのない巨大なシャボン玉。その横で微笑んでいるのが、シャボン玉名人の鯰江さんです。高校で化学の教員をしていた経験や知識を活かし、定年後も輝き続ける鯰江さんのシャボン玉にかける想いや人生訓を伺いました。
「シャボン玉ホイホイ」鯰江 作弘さん
TEL:090-8160-4173 e-mail: 123shabondama@gmail.com

理科の面白さを知ってもらいたい巨大シャボン玉作りへの挑戦

 
▲大きなシャボン玉に息を吹きかけると中に小さなシャボン玉ができます。 
 私は小さい頃から科学雑誌を読むのが好きで、大学では理学部・化学科を専攻。卒業後、高校の化学や地学の教員として30年以上勤めてきました。でもその頃、世の中では子どもたちの「理科離れ」が問題になっていたんです。そこで子どもたちに科学の魅力を体験できる機会を設けようと、公益財団法人日本科学技術振興財団が主催となって全国各地で「青少年のための科学の祭典」が始まりました。このイベントには文部科学省をはじめ様々な学校・企業・団体が関わり、私も化学の教員として20年間ボランティアで参加しました。

 何をするかというと、理科の多彩な実験や工作を来場者の目の前で展開し、楽しんでもらうのです。生の実験を見た子どもたちが「わっ!」と盛り上がり、笑顔になる。そんな瞬間をたくさん見て、実験への熱もどんどん高くなっていきました。しかし毎年出展していると、実験のネタが枯渇してくるんです。そこで新しいネタがないかと探して見つけたのが、とっても大きなシャボン玉。アメリカで「バブル・スミス」と呼ばれるスターリング・ジョンソンさんが20〜30mのシャボン玉を作る映像を見て、「これなら自分にもできる!」と挑戦することにしました。

シャボン玉開発は試行錯誤の連続7年かけてようやく原型が完成

▲一気に約3000個のシャボン玉 
 ところが、シャボン玉の材料としてよく知られる洗剤や洗濯のりを使っても、巨大なシャボン玉は作れない。そこから試行錯誤して一旦は完成しましたが、コストがあまりに高く実用には向きませんでした。そして教員を定年退職後、どうしたらもっと安く手軽にできるか、シャボン玉開発に本腰を入れることにしたんです。まずは材料をイチから見直し、歯磨き粉、化粧品に使われる保湿剤、納豆、コンニャク、海藻など、とにかく粘りのある成分を片っ端から試すことに。試行錯誤しているうちに、何種類かの物質を配合して水と洗剤を加えると、理想的なシャボン玉液ができることがわかりました。それが最初の原型です。バブル・スミスさんの巨大シャボン玉を見てから7年の月日が経っていました。

 なぜ諦めずに挑戦を続けたかというと、単純に悔しいからです。成功している人がいるのだから、自分にもできるはずだという確信がありました。それに巨大なシャボン玉が成功した時の子どもたちの笑顔や、大人たちの歓声。あれはとっても気持ちがいいですよ。まるで芸人になったような気分です。私の根底には「子どもに理科や科学の面白さを知ってもらいたい」という気持ちもありますが、それ以上に大人がワクワクしてくれるのが嬉しい。実際、シャボン玉や科学の実験を披露すると、大人が驚くようなものじゃないと子どもも喜んでくれません。子どもだましではダメなんです。

失敗しないと成功しないどんな失敗も成功のヒントに

  現在は、最初の原型をさらに進化させたシャボン玉の粉末を使用しています。液体は重くて家から公園まで持ち運ぶのが大変ですが、粉末なら現地に持って行って水と洗剤に混ぜるだけ。この粉末を開発するまでに3年かかっており、まだ完成形ではありません。例えば最近取り組んでいるのは、もっと長持ちするシャボン玉です。シャボン玉が割れる要因は3つあり、1つは膜から水分が蒸発し、膜が薄くなって割れる。2つ目は空中の虫やホコリにぶつかって割れる。3つ目は重力で液が下に移動し上部の膜がうすくなり割れる。2つ目と3つ目の要因はどうしようもないので、できるだけシャボン玉の水分が蒸発しない方法を考えています。ただシャボン玉の膜を厚くすれば丈夫になるものの、太陽光線がキレイに入って虹色に光らせるためは薄さがないとダメで、バランスが難しいところですね。

 こうしたシャボン玉作りを通じて私が思うのは、「何事も失敗しないと成功しない」ということ。失敗を繰り返す先に成功がある。だから皆さんも失敗をおそれず挑戦しましょう。私は現在、草津川跡地公園de愛ひろばなどでシャボン玉を作っていますが、今後は他府県にも活動の幅を広げ、たくさんの笑顔に出会いたいと思っています。
 
▲巨大なシャボン玉に大興奮
(2022年2月取材)

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