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フードバンクびわ湖 曽田 俊弘さんを訪ねて

フードバンクびわ湖 曽田 俊弘さんを訪ねて
フードバンクとは、まだ食べられるのに処分される食品を、
食べ物に困っている人に届ける社会福祉活動のことです。

今回は、食品をお渡しする現場に訪問。
滋賀県内でこの活動を進めている「フードバンクびわ湖」の
理事長・曽田俊弘さんに、立ち上げの経緯や現在の想いなどを
聞いてきました。
一般社団法人 フードバンクびわ湖
【本 部】滋賀県甲賀市水口町北脇557 浄福寺
【事務所】守山市吉身2丁目5-9 Future lab内
【ホームページ】
  https://peraichi.com/landing_pages/view/foodbankbiwako/
【Facebook】 https://www.facebook.com/foodbankbiwako/

食品を集める&提供する2つの視点が大切


▲滋賀県各所にフードボックスを設置されています。
 私の本業はお寺の住職で、もともとは各寺からお米を集めてフードバンクに寄付する「近江米一升運動」という慈善活動が出発点でした。そこでこの活動が食品ロスの削減や地域のネットワークづくりにも役立つことがわかり、「もっと広げていきたい」という想いから2018年に『フードバンクびわ湖』を立ち上げたのです。

 フードバンクの活動は、家庭に眠っている食品や品質に問題がないのに市場で流通できなくなった食品を個人や企業から寄付してもらう「フードドライブ」と、受け取った食品を生活困窮者などへ無償で配布する「フードパントリー」の両輪があってこそ成り立ちます。ですから私たちもまずは食品を集めるため、フードボックスの設置事業からスタートしました。

 しかし当初はフードドライブの認知度が低く、食品を集めるのに苦労しました。活動の輪が広がってきたと感じたのは、2019年に滋賀県庁でフードドライブを実施された頃からです。さまざまなメディアに取り上げられて認知度が上がったこともあり、今では甲賀市、守山市、大津市、野洲市、東近江市、草津市、高島市、近江八幡市、彦根市と滋賀県広域で、自治会館やレストランなどに食品を入れてもらうフードボックスを常設しています。お持ちいただく食品は、賞味期限1ヶ月以内で、常温で保存できるもの。お米やレトルト食品、お菓子などが多いですが、企業からは災害時の備蓄の入れ替え時に提供いただいたり、農家さんからは野菜をいただいたりすることもあります。

誰もがお腹いっぱいになれるフードバンクを目指して


▲所狭しと寄付された食材が保存されています。
 また現在は守山市をはじめ各市の市役所、社会福祉協議会と連携し、集まった食品を配布するフードパントリーを共催しています。以前は「フードバンクって何?」と訝しがられることもありましたが、行政と連携することで信頼や安心を感じてもらえるようになったのは良かったですね。

 食品を受け取られる方は、ひとり親家庭や生活保護の申請中といった生活困窮者が多く、コロナ禍の今では失業者や倒産した企業経営者などもおられます。今回開催されたフードパントリーはコロナ禍の特別支援として、守山市役所で一定の基準をもとにリストアップされたご家庭が対象でした。ただ、基準から外れていても困っている方はいらっしゃるでしょうし、すべての人に行き渡らせるというのはなかなか難しいと感じます。

 私たちフードバンクびわ湖としては「誰でも利用できること」が理想。フードバンク=生活困窮者が利用するというイメージが根付いてしまうと、その他さまざまな理由でお困りの方が利用しにくかったり、生活困窮者も劣等感を感じて利用しにくくなるおそれがあります。子ども食堂も当初は「子どもの貧困対策」として始まりましたが、現在は「子育て支援」「地域交流の拠点」という位置づけになってきていますよね。私たちはこのフードバンクも、地域生活インフラとして誰もが利用できるものにしたいと考えています。

滋賀県をフードバンクの新しいロールモデルに

 2020年は滋賀県各市の給食センターと連携することで、新型コロナウイルス感染拡大防止のために小・中学校が休校になって余った食材を受け取ることができました。先日も急に休校になった給食センターから依頼があり、1.6トンの食材を預かって、放課後等デイサービスや託児をしている施設、子ども食堂、介護施設などへ提供しました。またCSR(社会的責任)やSDGs(持続可能な開発目標)の観点から活動に賛同してくださる企業も増えています。「食品ロスで困って引き取ってほしい」ところと、「食材を無償で提供してもらえて助かる」ところをつなぐ役割ができているのは喜ばしいことです。

 私はフードバンクの活動やお寺の住職をしているなかで、滋賀の方は奉仕の精神が高いと感じています。社会に貢献できてこそ良い商売といえるという「三方よし」の考え方が根本にあるからでしょうか。実際、滋賀県のボランティア活動の年間行動者率は全国1位(総務省・平成28年社会生活基本調査)です。フードドライブ&フードパントリーもお願いしたら皆さん快く協力してくださいますし、地域の結束も強い。今後は食育や居場所づくりといった活動の幅を広げていき、滋賀県がフードバンクのロールモデルになればいいなと思っています。
 

▲ボランティアスタッフと守山支部長の小西由美子さん(左)

▲集まった食品を手渡すボランティアスタッフ

▲フードパントリーで配布される食品
(2021年3月取材)

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