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「手織真田紐」は滋賀の伝統的工芸品
真田紐(さなだひも)とは、機(はた)で縦糸と横糸を平たく織った紐のことです。
戦国時代の武将・真田幸村が考案したことから名付けられたと言われていますが、
実はその歴史はもう少し古く、ネパールや中東から伝来したのではないかなど諸説があります。
織り方には一重織りと袋織りがあり、素材は木綿や正絹を使います。特色としては、
通常必要な本数の倍以上の糸を使って圧縮して織るため、伸びにくく非常に丈夫なこと。
その丈夫さから戦国時代には刀の下げ緒や鎧兜着用時の紐・帯締めなど武具として使われてきました。
現在では高級な茶器、美術品、宮内庁の贈答品などを納める桐箱の紐に使用されています。 結んだ時にピンと立つ張りが手織りならではの魅力
もともと私は真田紐の職人になるつもりはありませんでした。
しかし西村家に嫁ぎ、新しい職人さんが入ったときの教育係として技術を覚えることになったのです。
最初はベテランの職人さんたちの動きを盗み見ながら、家事や育児の合間にやっていたので大変でした。
それがいつしか時代の流れとともに職人さんがいなくなり、注文が入った時には私が主力として作るようになっていきました。若い頃は一人で夜中までかかって機を織り、つらくて泣いたこともあります。 失われゆく伝統技術を若い世代にも知ってほしい
私は今年85歳。このままいけば手織真田紐の伝統は途絶えてしまうでしょう。
大変な仕事のうえに需要も減っていますから仕方ないと思いますが、
それでもなくなってしまうのは寂しいです。現在、近江商人博物館の展覧会に作品を展示したり、
工房見学を受け入れたりといった活動も行っています。このような場を活用して、
せめて「手織真田紐」という伝統工芸があったことを知ってほしいですね。
また、伝統技術を守るような県の支援も期待したいですし、娘を後継者として育てることも考えています。
この仕事を始めて60年、これからもできる限り精魂込めて作り続けていきたいと思います。 (2015年2月取材)
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