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琵琶湖発人間探訪

渡邊 嘉久さん
渡邊 嘉久さん
長浜工芸研究会代表
渡邊 嘉久さんを訪ねて

今回は伝統工芸の継承と現代の生活に合った新たな工芸の創造に努める「長浜工芸研究会」代表の渡邊嘉久さんにお話を伺いました。

ギャラリー八草
住所 :滋賀県長浜市宮前町10-12
電話 :0749-50-3534
FAX :0749-50-3534
ホームページ http://www.yatsugusa.jp
開館時間 :平 日 13:00〜17:30
 土日祝 11:00〜17:30
休館日 :不定休

伝統工芸との出会い
▲「乾漆技法」で作られた作品

 私は「浜仏壇」の塗師の家に生まれました。 「浜仏壇」とは、滋賀県長浜市を中心として生産されている仏壇で、長浜で行なわれる日本三大山車祭り「曳山祭」の山車を模って作られることが特徴です。 学生の頃は家業への関心が薄く、一旦は銀行に就職する道を選びました。しかし、一般企業に勤務する中で、家業の素晴らしさを改めて感じることができ、 父の跡を継ぐ決意を固めました。
 それからは父の下で漆塗りの技法を学びました。父は「背中を見て学べ」という指導だったため、横につき、必死になって技法を習得しました。 仏壇の塗のほか、曳山祭に使われる山車の大きな修復にも数多く携わることができました。決意を固めてから20年が経った今、渡邊仏壇店の3代目として家業を継いでいます。


現状維持ではなく、新たなチャレンジを大切に
▲塗りに使われる刷毛は人の髪の毛で作られています

 技法を習得する中で、私は常に新しいことにチャレンジする姿勢を大切にしてきました。 一人前に仕事ができるようになった今でもそうです。例えば、5年前には漆塗りの知識を深めたいと思い、約2年間、神奈川県まで通って「乾漆技法」の習得に挑戦しました。 「乾漆技法」とは、麻布を幾重にも糊漆で貼り重ねて素地を作る技法のことです。普段とは違う環境に身を置き、異なる道具や手法で技法を学ぶことは、 スキルを高める上でとてもよい刺激になりました。
 また、仕事で使用する国産の漆についてもっと知りたいと考え、生産地まで出向いたこともあります。外国産であれば国産の10分の1ほどの価格で入手できますが、 耐久性の違いから、私はこだわりをもって国産の漆を使用しています。実際に国産の漆が採れる岩手県の浄法寺まで出向き、漆の木から樹液を掻きだす「漆掻き」を習得してきました。

新たな挑戦「長浜工芸研究会」の立ち上げ
ギャラリー八草
▲ギャラリー八草には滋賀県内の作家の作品を中心に展示されています

 新たなチャレンジの一環として、平成22年4月に立ち上げたのが「長浜工芸研究会」です。 長浜には曳山文化に育まれてきた高度な工芸の文化があるにも関わらず、技術を生かした工芸品の需要が減少しています。 そこで、長浜を中心に活動する職人や工芸家に呼びかけ、自らが代表となり、「長浜工芸研究会」を立ち上げました。 メンバーには木工や金工など様々な分野の職人や工芸家がいます。研究会では工芸技術の研鑽を高めると共に、 現在の生活にマッチする工芸製品を創造する研究を重ねています。
 そんな折、「長浜市中心市街地活性化基本計画」の一環として、長浜八幡宮の近くの町屋を改修し、工芸関係者に貸し出すことで、 地域の活性化を図るという計画が浮上しました。そこで、「長浜工芸研究会」の活動の一環として、ギャラリーの運営に取り組むことにしました。



「ギャラリー八草」の運営
渡邊 嘉久さん

 ギャラリー八草は工芸に関する人やモノ、情報の交流拠点であり、作り手と使い手を結ぶ役割を持たせたいと考えました。 ”八“は「たくさん」を意味し、”草“には「地道に活動する職人や工芸家」の意味を込めました。ギャラリーでは、 湖北地域を始めとする滋賀県内の作家の作品を中心に展示しています。また、単なる工芸製品の展示、販売だけでなく、ワークショップも開催しています。 お箸やお椀の製作のほか、陶磁器を修復する「金継ぎ」も人気があります。これは割れた陶磁器を接着し、繕った部分を金で装飾していく修復技法です。 実際に割れた陶磁器を持参いただき、修復しながら技法を学んでもらいます。ワークショップを通じてものづくりの楽しさや面白さを体験してもらい、 伝統工芸への関心を深めてもらいたいと考えています。



今後について

 「長浜工芸研究会」の活動を通じて、皆さんに伝えたいことがたくさんあります。「金継ぎ」のワークショップでは、元来、 日本人の特徴として根付いていた「よいものを修復して長く使う」文化を広げることも狙いとしています。 少し値は張っても、お気に入りの作家さんの食器を見つけて、長く大事に使う人が増えて欲しいと思います。 
 また、長浜の伝統工芸の歴史の深さを感じてもらいたいです。長浜市には江戸時代から明治時代にかけて、「常喜椀」というお椀が作られていたことがありました。 これは地元の人にもあまり知られていません。たまたま現物を譲り受けることができ、私は「常喜椀」の復元に取り組んできました。この「常喜椀」の展示を通じて、 長浜にも地元の漆器があったことを皆さんにも知ってもらい、もっと漆器を身近に利用して欲しいと思います。
 また、やはり私は塗師として漆の魅力を皆さんに知ってもらいたいと思います。岩手県へ漆掻きを習得した際に、 50年ほど前は滋賀県でも漆が採れていたという話を聞きました。調べてみると、今でも余呉には漆の木があるのです。実際に植物家と余呉の山へ出向き、 地元の漆を探すことにも挑戦しています。いずれは、自ら掻いた滋賀県産の漆を使った作品を発表することが目標です。今後も現状維持に満足することなく、 いつまでも新しいことに積極的にチャレンジする姿勢を大切にしたいと思います。


(2013年3月取材)
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