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琵琶湖発人間探訪

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美容師 森 小夜佳さん

美容師 森 小夜佳さん
『十仁サロン末広』美容師 森 小夜佳さん
今回は、昨年11月に行われた「第38回全日本美容技術選手権大会 ヘアスタイル競技の部」で見事優勝された高島市にある『十仁サロン末広』の美容師、森 小夜佳さんを訪ねました。森さんの手にかかれば、髪はたちまち“アート“に変身します。今回は、大会で優勝を獲得するまでの経緯と、祖母の代から続く美容室を継ぐことへの思いを伺いました。
十仁サロン末広
住所 :滋賀県高島市安曇川町田中41-2
電話 :0740-32-0123
定休日 :月曜日、第1火曜日、第3日曜日
営業時間 :8:00〜18:00

恩師との出会い

全日本美容技術選手権大会は、競技部門ごとにそれぞれの県大会を勝ち抜いた選手が集まり、日本一を決定するものです。いくつかの競技部門がある中で、私が出場した『ヘアスタイルの部』では、ブローとセットの技術を用いて、いかに独創性のあるヘアスタイルを完成させるかを競います。私が『ヘアスタイルの部』を選んだ理由は、普段から彫刻や版画など、自分の手で一から作品を作り上げるような芸術的造形に興味があったことと、この競技に出ることが世界大会出場に繋がると聞いていたからです。また、カットなどの他の部門ではウィック(人形)を使うのですが、『ヘアスタイル部門』では人間のモデルを使います。人間のモデルを使うことにより、「痛い」「熱い」といったセットを受ける側のリアルな声を聞くことができますし、何より人を使って生きたアートを表現できる点に魅力を感じました。
大会出場以前は、このような大会があることすら知りませんでした。以前からお世話になっている先生から教えてもらったことをきっかけに興味を持ち、早速実際の大会を見学しに行きました。そこで、私は運命の出会いを経験しました。大会審査員の中で、ひと際オーラを放つ方がいたのです。私は直感で「この方に技術を教えてもらいたい!」と思い、その先生を知っている先輩を通じて、私の思いを伝えました。最初は、なかなか良いお返事をいただけず諦めかけていたのですが先輩方のお力添えもあり、承諾してもらうことができました。その時から私は真剣にこの大会に挑むことを決意したのです。

優勝を目指して
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バックは「S字」ラインで植物の幹を表現し、毛先は「あめ細工」のように繊細に仕上げます

出場部門を決めてからは先生のお店に通い続けました。最初はブローの仕方やヘアスタイルの作り方など、基本を一から教えていただきました。その後、今大会の作品となるヘアスタイルを試行錯誤し、モデルの方に一番似合っており、あらゆる角度から見ても美しく見えるスタイルとして辿り着いたのが、『花』をイメージしたものでした。
生きたお花のように瑞々しく華やかな美しさを最大限に表現するため、毛先は『あめ細工』のようにキラキラと繊細に、バックは『S字』のラインで力強さを出し、植物の幹を表現しました。ひたすら練習を重ね、大会一ヶ月前からは毎日8時間、泊まり込みで同じ工程を何回も繰り返しました。先生からは、ご飯を食べる時もお箸をブラシだと思えるくらいにまで集中し、髪の毛を一本でも美しく表現することを考えなさいと言われていました。
しかし、順調にいっていた練習も大会直前には「何がよくて何がいけないのか」と自分で自分の作品を評価できなくなり、どうすればいいのか分からず、自信を失くすことがありました。そんな時はこれまで撮り続けてきた自分の作品の写真を眺め、書き留めたノートを見返すことで、日々の成長を確認するなどして自信に繋げました。そして何よりも、県の代表として「滋賀の看板を背負っているんだ」という思いを胸に、懸命に練習に取り組みました。
迎えた大会当日は、他の選手のすばらしい作品を目の当たりにして、「優勝は厳しいかな」と舞台裏で少々落胆していました。そんな中、表彰式で『優勝』という言葉を聞いた時は「本当に信じられない」という驚きと同時に大きな達成感が満ち溢れ、今までの思いが一気に込み上げ涙が溢れました。審査の際、私の作品がお客様の前に登場すると一際大きな歓声が上がったと聞き、皆さんに認められたことにも大きな喜びを感じました。
今回の優勝は決して私一人の力で成し得たものではありません。本当に周りの方のお力添えのお陰だと思います。先生をはじめ、たくさんの方に支えられた結果であり、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

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  表彰式で涙が込み上げ顔を覆う森さん
これからも地域のお客様のために

今回、大会で大きな賞をいただきましたが、普段の生活が大きく変わることはありません。私はこれからも、この高島にある『十仁サロン末広』で地域のお客様に技術を提供していきたいと思います。
私が勤める『十仁サロン末広』は約60年前に開業し、祖母と母が二代に渡って守り続けてきました。私がまだ他のお店で美容師の修業をしている時に、祖母の病気が原因で店を閉めざるを得ない状況になりました。「大好きなおばあちゃんのお店がなくなるかもしれない」と知って改めてこの店の存在の大きさを実感し、私はすぐに継ぐことを決心しました。そもそも私が美容師を目指したのは、この店で明るく元気に働く祖母や母の姿があったからです。その店を私が守っていこうと心に決めました。
当店が60年にも渡ってお客様に愛され続けているのは、世代を問わずどなたでも気兼ねなくご来店いただけるような、アットホームな雰囲気を持っているからだと思います。私は若い世代が好むのはおしゃれな雰囲気のお店だと思い込んでいましたが、この店で働くようになって『美容師の人柄』や『お店の雰囲気』がいかに大切かということに気付きました。今後もお客様に愛され続ける店であるために、この店の温かい雰囲気を守っていきたいと思います。
 また、そのためには自身の技術をさらに磨いていくことが重要です。多くの人と信頼関係を築き、一緒に感動を分かち合えることが美容に関わる仕事の魅力だと思います。お客様一人ひとりに満足してもらうことはもちろん、お客様のご家族やご友人にも喜んでもらえるようなスタイルを提案していきたいと思います。今後もヘアセットに限らず様々な美容技術を習得し、いつかは世界競技大会へもチャレンジしたいと思います。

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  祖母と母が約60年守り続けられた美容室を
次は森さんが継がれます
(2011年5月取材)
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