1995年に起こった阪神・淡路大震災や2000年の鳥取県西部地震、2001年の広島県芸予地震は、多くの犠牲者を伴う大災害となりました。その際に“明日はわが身”という危機感を感じ、このままではいけないのではないか、自分たちにも何かできるのではないかという思いを持つ地域住民が集まり、2001年3月に「たかしま災害支援ボランティアネットワークなまず」を発足しました。 発足当初は被災経験も被災地活動経験もないメンバーばかりで何をしたらいいのかがまったく分からず、話し合いだけを繰り返す日々でした。しかし、このまま何も行動しないのはいけないと思い、メンバーからアイデアを募り、何でもいいから行動しようという気持ちでチラシによる地域住民への防災啓発と自分たちでの災害に関する勉強会を行ないました。
私たちの活動は大きく分けて、次の3つに分類することができます。 ・『防災・減災啓発活動』 ・『災害ボランティアとしてのリーダー力をつける活動』 ・『被災地への救援支援活動や後方支援』 まず、『防災・減災啓発活動』では、災害が起こる前の「備えと構え」の大切さを、劇や漫才・紙芝居など、子供からお年寄りまで、その対象となる方に併せたプログラムで行なう地域防災出前講座を行なっています。講座の中で使用するミニチュア家具や大型ロール紙芝居といった機材は全て工作が得意な男性メンバーによる手作りです。また、交通機関が麻痺したときに帰宅困難者となることを想定し、遠方から自宅への道のりをロープワークなどの訓練をしながら歩いてみるサバイバルウォーク、さらに、阪神淡路大震災を忘れないために被災地から譲り受けた分灯で手作りのキャンドルに火を灯して“1.17”の文字を作るメモリアルイベントを開催しています。 次に『災害ボランティアとしてのリーダー力をつける活動』では、他のボランティア団体との交流や情報交換を行っています。また、命を守るセーフティーリーダー養成活動として、応急救護の講習会などを行い、災害に遭った一人ひとりが人命救護の知識と技術を持てるよう努力しています。 最後の『被災地への救援支援活動や後方支援』では、実際に被災地へ赴いての救援支援活動や、物資を送るなどの後方支援を行っています。 これまでの活動を通じて、支援活動は被災地へ行ってから何をするのかを考える指示待ちの姿勢ではなく、必要なものが何なのかを考えてから行くべきだと感じました。また、現地でボランティアをしている人を支えるためのボランティア活動の重要性を感じました。
これまで地道な啓発活動を繰り返してきたおかげで、最近では地域の方々に防災の必要性を理解してもらえるようになったと感じています。今後は、「備え」の実行を進めていただきたいです。そして、高島地区だけでなく全国へと浸透させていきたいです。最終的には、全ての人々が自分の命やその次の命を守れるセーフティーリーダーになって欲しいと思っています。 また、現状では身体に障害を抱えておられる方への防災対策が不十分なため、そういった方へ向けた啓発活動の内容も考えていきたいです。その一環として、まずは視覚障害者の方へ向けて、漫才やクイズなどの活動をCD化し、配布していこうと考えています。 減災に対し、一番重要で一番出来てない事が、個人の「備え」です。災害発生時に人命を失わないことが最大の目標です。先ずは、“明日は我が身”という危機感を持つことが大切だと思います。 最後に、日頃からご近所の人と触れ合い、どういう人がどこに住んでいるのかを知っていただきたいです。いざというときこそ地域周辺の結束力が災害の被害を小さくすることに繋がります。地域全体で減災を目指し、できることから少しずつ実践してみてください。