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企業メッセージ 「一人ひとりの生活感覚を大切にした活動で、社会とともに歩む」

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清水耕二さん
NPO法人 西大津駅周辺防犯推進協議会
  理事長 清水 耕二さんを訪ねて
地域住民の間でのコミュニティが深まれば犯罪は減る。
だが「地域コミュニティを深める」ことは大変難しい。

近年、滋賀県内では大型商業施設の建設や他府県からの人口流入が著しく、地域活動への取り組み方やそのあり方も変化してきています。皆さんは、西大津駅周辺において地域住民との交流を深めながら地域防犯に取り組んでおられる団体があることをご存知でしょうか。今回はNPO法人 西大津駅周辺防犯推進協議会 理事長の清水耕二さんにお話を伺いました。
【お問い合わせ先】
NPO法人 西大津駅周辺防犯推進協議会
住  所 :〒520-0025 滋賀県大津市皇子が丘二丁目10-25-2106
電 話 :(077)524-2537
F A X :(077)524-2537
mail info@owcp-bouhan.com

協議会立ち上げのきっかけを教えて下さい。
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青色回転灯付き防犯カーにはカメラも搭載されています

従来から、西大津駅周辺は大阪・京都への通勤圏内として、他府県からの移住者が増えている地域でした。また、建築に関する法律の改正に伴い建築規制が緩和され、大型商業施設や高層ビルが増えました。西大津駅周辺では、こうした急激な人口増加と町の発展に伴い、駅前やショッピングセンターに若者がたむろし、深夜まで暴走族が走り回るなど、犯罪につながるような迷惑行為が増えました。特に西大津駅前では、青少年のい集(※1)や暴走行為などが頻繁に行われ、通勤、通学に危険を感じるという声も少なくありませんでした。西大津の代表的なマンションであるファーストタワー大津マリーでは、ガラスが割られたり、壁の落書きが著しく増えるなど、マンション自体への被害が多く発生していました。最初はマンションの住民だけで対処していましたが、次第に住民だけでは手に追えないものになり、近隣の自治会である山上町自治会の会長をしていた私に相談がありました。

まず、ファーストタワー大津マリーで運営する大津マリー自治会の立ち上げを提案し、西大津を中心とする他の6自治会にも声掛けを行いました。そして、大津マリー自治会と山上町自治会を併せた8つの自治会と近隣の住民が協力し合い、防犯活動をスタートさせました。その後、8つの自治会と警察などが自警団として西大津駅周辺防犯推進協議会を設立しました。さらに平成15年にNPO法人西大津駅周辺防犯推進協議会として組織化し、継続的な活動に取り組む体制ができました。

どのように活動を進めてこられたのですか。
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落書き消し隊
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ごみを拾いながらの夜の巡回活動
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ショッピングセンター内の巡回

最初は、青少年のい集や暴走行為の阻止を目的に西大津駅のロータリーをパトロールすることから始め、自治会員5名程で月に2回の頻度で巡回をしていました。そして、落書き消しなど防犯に関係すると考えられる活動を、気付いたことから取り組んでいきました。

現在は、協議会メンバー15名前後と各自治会からの参加者が一緒になって活動を行っており、コンビニエンスストアなど町の各所に防犯カメラを設置したり、ショッピングセンター内の巡回や危険地域をマップにまとめた防犯マップの作成など多様な活動を実施しています。また、住民によるパトロールは、警察の保安犬や青色回転灯付き防犯カーを取り入れるまでに発展しています。

西大津駅周辺防犯推進協議会は、国や県から指導されてつくられた組織ではなく、目の前の問題を解決するために独自にスタートし、発展してきた組織です。また、我々の活動は割れ窓理論(※2)の阻止が目的であり、犯罪行為や青少年の非行に対して常に抑止し続けることが大切だと考えています。また、協議会のメンバーや活動への参加者は防犯活動に従事している訳ではありませんので、活動の時間には制限があります。そのため、考えた事はスピーディーに行動に移し、物事をできるだけ早く解決しなければなりません。

我々がこれまで多様な活動を行えてきたのは、当協議会が地域から独自に生まれた組織として、自主的にかつスピーディーに行動することができた結果だと思います。また、西大津地域の住民の方々が協力し合い、防犯活動に興味を持っていただけたことが大きな要因だと思います

活動を通して感じることはどのようなことですか。
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活動を通して感じたことは、地域住民の間での地域コミュニティが深まれば犯罪は減るということでした。地域の防犯活動を地域活動として活性化させるには、地域の住民から自発的な意見が出てくる環境でなくてはなりません。しかし、人口増加が著しい地域では、新たな住民とこれまで住んできた住民との間に壁ができてしまいがちです。そこでは、先輩が後輩に手を差し伸べてあげるように、これまで住んできた住民たちが、新しい住民に手を差し伸べることが大切なのだと考えます。「地域コミュニティを深める」と口で言うのは簡単ですが、実現することは大変難しいものです。意識して地域の活性化を図ろうとするのではなく、地域住民が自発的に人を迎えてあげられる環境をつくることが大切なのだと思います。

山上自治会と大津マリー自治会では、地域の住民が交流を深められる機会をつくろうと3年前に『大津ウエストジャズナイト』というイベントを始めました。『大津ウエストジャズナイト』は定期的に開催しており、新たな住民とこれまで住んできた住民、そして、企業の人や官庁の人も参加し、地域の繋がりを深めています。言葉を交わすことだけではなく、お互いの考えや状況を知り合い、助け合うことが、地域防犯ないしは地域活動において大切なのだと実感しています。
今後の目標を教えて下さい。
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活動はユニホーム姿でされています

今後は、さらに犯罪の少ない町になるように防犯活動を強めるとともに、これまで続けてきた防犯活動の取り組み内容をまとめ、それらのノウハウを全国各地で行われている地域防犯活動に生かしてもらうことが目標です。そのためには、防犯の手法や活動内容だけではなく、組織を運営するために必要な地域活動の財源確保や人員確保・人材育成に至るまでの方法も一緒に伝えていかなければなりません。もちろん、それは単なるマニュアルではなく、活動に関わる人たちの取り組み姿勢など、地域防犯のあり方も一緒に伝えられるものでなくてはなりません。我々がこれまで独自で活動を行ってきたノウハウや地域で取り組もうとする思いを全国に広めていきたいと考えています。

また、町に専従の保安官を配置し、子供たちが安全に遊べる町づくりを考えた犯罪予防・抑止のモデル地域となれるように取り組んでいきたいと思います。そして、この『町の保安官制度』を西大津から全国各地に発信していきたいと考えています。
※1 い集
一時に群がり集まること。
※2 割れ窓理論
建物やビルの窓ガラスを割れたまま放置しておくと、外部から、その建物は管理されていないと認識され、割られる ガラスが増え、建物やビル全体が荒廃し、それはさらに 地域全体が荒れていく(犯罪が増えていく)という理論
(2006年8月取材)
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