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川村さん |
歌舞伎で広がる地域の輪・心の輪
振付師 川村さんを訪ねて |
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| 長浜曳山祭りで演じられる「子供歌舞伎」は、郷土が誇る伝統芸能です。長浜に根付いた歌舞伎の文化は、地域の活性化に繋がる「長濱ゆう歌舞伎」の結成にも生かされています。今回は、「子供歌舞伎」や「長濱ゆう歌舞伎」の振付師である川村さんにお話を伺いました。 |
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 歌舞伎との出会い、その魅力 |
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私は曳山祭の文化が根付くこの街で生まれ、幼少の頃から歌舞伎に興味を持っていました。曳山の子供歌舞伎は５歳から12歳の男児が出演しており、私は幼稚園から小学４年生まで役者として歌舞伎を演じていました。とにかく、祭り好き、歌舞伎好きな子供で、普段から乳母車を曳山に見立て、歌舞伎の芸を演じて遊んでいました。高校時代は演劇部に入り、演劇に歌舞伎を取り入れた芸を演じていました。そして大学時代は、歌舞伎研究会に入り、本格的に歌舞伎を学び、歌舞伎に没頭する毎日を送っていました。
歌舞伎は、同じ演目でも演出の方法や表情の出し方によって違う表現になるという面白さがあります。私はそこに魅力を感じ、現在に至るまで歌舞伎を続けています。私にとって、歌舞伎は切っても切れない存在になっています。
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| 急遽、曳山子供歌舞伎振付師に |
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戦前、長浜では娯楽と言えば歌舞伎や浄瑠璃が中心でした。そして、その振付・三味線・太夫の三役は地元の人々が担っていました。しかし、娯楽が多種多方面に広がる中で、歌舞伎をたしなむ人が減り、子供歌舞伎の三役も他府県の先生にお願いしていました。そのような状況の中、私が子供歌舞伎の振付師として活動を始めたのは一昨年のことです。振付を依頼していた先生が高齢になり振付指導ができなくなったということで、急遽、隣町の振付を担当したのがきっかけでした。
子供歌舞伎の稽古は、春休み中に約２週間、朝から晩まで行われます。子供の両親も立ち入ることが許されない厳しい稽古で、振付をはじめ道徳やしつけなども同時に教えています。 |
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| 長濱ゆう歌舞伎の誕生 |
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曳山祭りとは別に、平成９年からゆう壱番街商店街振興組合の文化事業の一つとして、長濱ゆう歌舞伎を結成しました。目的は長浜の郷土芸能である歌舞伎を通して、地域の枠を超えた交流の輪を広げていこうというものです。
ゆう歌舞伎の参加者は８歳から81歳の年齢の幅があり、社会での地位や肩書きに関係なく男女混合の素人による町衆歌舞伎です。曳山祭りの子供歌舞伎の枠に捉われず、素人ならではの歌舞伎を楽しんでいます。メンバーとの活動を通して、日常生活での息抜きやストレス発散の場ともなっています。
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| 振付師の役割 |
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歌舞伎を実際に演じることも大事ですが、私は観ることにも重点を置いています。歌舞伎では、役の感情を、見得を切ることで表現しています。写真やビデオであっても、その型を見ることによってお客様にその時々の役の感情を感じてもらえ、役のイメージが強く表現されるという面白さが歌舞伎にはあるのです。振付をする際には、特に役者の感情や表現に気を配っています。
振付師とは、単に振り付けを教えるだけではなく、日本人としての文化意識を役者から引き出して味を付ける、その味付け役としての役割を果たしているのです。 |
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| 世代を超えた交流の輪を |
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歌舞伎の心は誰もが持ち合わせています。自分の持っている心、今まで積み重ねてきた記憶を接点とし、歌舞伎を通して地域のコミュニケーションを深め、世代を超えた交流の輪を広げていきたいと考えています。
歌舞伎は心で演じるもの。歌舞伎を演じることで、豊かで素直な心を育み、悩みを忘れ、ストレスを発散してもらうことが何よりの願いです。 |
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| 曳山祭と子供歌舞伎の歴史 |
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日本三大山車祭のひとつである長浜曳山祭は、16世紀の末に長浜城主だった羽柴秀吉（のちの豊臣秀吉）が男児出生を喜んで長浜の町民に砂金を与え、町民はこれを基金に12台の曳山をつくり、長浜八幡宮の祭りに曳きまわったのが始まりといわれています。昭和54年、国の重要無形民俗文化財に指定されました。
子供歌舞伎は寛保2年（1742）の狂言の台本が残っていることから、この頃にはすでに行われていたと考えられます。 曳山の上で演じられる子供歌舞伎は曳山祭の見所となっています。 |
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| (2005年5月取材) |
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