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宮脇健康さん
びわこ棚田保全の会 宮脇健康さんを訪ねて
滋賀県の高島町畑地区の棚田が「日本の棚田100選」に選ばれていることを皆さんはご存知でしょうか。今回は、棚田本来の姿をよみがえらせ、棚田のある原風景を維持していきたいと「びわこ棚田保全の会」を立ち上げられた宮脇健康さんを訪ねました。
宮脇 健康(みやわき けんこう)
■問い合せ先
滋賀県大津市真野1丁目8−8
TEL:077-573-5793

「びわこ棚田保全の会」を立ち上げられたきっかけと活動内容を教えてください。
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2000年10月、「日本の棚田100選」に滋賀県の高島町畑(はた)地区の棚田が選ばれました。以前から高島町に棚田があることを知っていましたが、実際に目にしたことはありませんでした。その棚田が「100選」に選ばれたということで、一度見てみようと高島町に足を運びました。しかし、そこに広がる棚田は6、7年放置されていたこともあり、2メートル近くの草に覆われ、とても「100選」に選ばれているとは思えないほどの荒地状態でした。

棚田のある風景は美しいものですが、実際に耕作するとなると大変な苦労があります。棚田は丘陵地に作られているためトラクター等の農機具の使用が難しく、耕作のほとんどを手作業で行う必要があります。そのため、高島町の多くの農家の方は耕作をあきらめ、棚田は放置されたままとなってしまいました。滋賀県には高島町以外にも棚田はありますが、そのほとんどは人の手が加わり農業の近代化に対応した棚田となっています。高島町の棚田が「棚田100選」に選ばれたのは、昔ながらの原形をとどめていたのが大きな要因です。
そこで棚田本来の姿をよみがえらせ、棚田のある原風景を維持していきたいと考え「びわこ棚田保全の会」を立ち上げました。棚田本来の姿とはもちろん稲作をすることにあります。しかし、荒れ果てた棚田で水の管理を行う環境を整えるには費用もかかり、水田として使用するには無理があるため、畑として棚田を使用していくことにしました。
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地元の方も「棚田100選」に選ばれたことを誇りに感じておられましたが、棚田の保全をどのようにしていけばいいのか悩んでおられたこともあり、この会を発足させると、多くの方に賛同して頂きました。地元の人たちの協力を得て荒れ果てた棚田の草刈から始めて、今ではなんとか作物を収穫できる状態になりました。このようなボランティア活動は、なかなか人が集まりにくいと言われていますが、高島町の棚田がテレビ等で取り上げられたこともあり、活動当初から多くの方に参加していただき大変感謝しています。

ただ、棚田を耕作するだけの活動ではなく、農業経験の少ない都市の親子にも参加してもらい、真の健康を狙いとした自然農法による野菜等を栽培し、地元の人たちと交流を深めながら楽しく保全活動を行っています。年間を通じて棚田で耕作活動を展開しており、昨年は、里芋、しょうが、しそ、そば、にんにく等を栽培し、収穫時には、そばを石臼でひき、そのそば粉を使ってのそば打ち会や芋煮会を開きました。植付けから収穫までの全ての行程を体験してもらっています。活動とともに会員数も増え現在ではメンバーも40名近くになりました。
宮脇さんは余暇生活開発士・自然観察指導員という資格をお持ちですが、
この資格を取得された理由をお聞かせください。
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人生80年と言われる今日、60歳で定年を迎えると、その後は20年間の余暇時間があることになります。その20年間をどのように過ごすか、私はつねづね定年後は有意義に過ごしたいと考えていましたが、いざその時を迎えてみると定年退職を迎えた誰もが経験する、余暇時間に何をすればいいのか分からないという大きな壁に私自身もぶち当たってしまいました。

そんな中、あるラジオ番組で余暇時間を有効に使う方法を提案する「余暇生活開発士」募集の知らせを偶然に耳にしました。そこで、一年かけて研修等に参加し、「余暇生活開発士」の資格を習得しました。

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私は鳥取県の出身で滋賀県にやってきて35年が経ちますが、幼少のころ、鳥取砂丘のすぐそばの海・山・川のある環境の中で育ち、自然に囲まれた生活の素晴らしさを思い出し、自然観察もしてみたいと考えるようになりました。そのため余暇生活開発士に次ぎ、多くの人と共に自然にふれあうことができる「自然観察指導員」の資格も取得しました。

余暇生活の「余暇」と「自然観察」をドッキングすれば大変有効な時間を過ごせることでしょう。余暇時間を自然の中で過ごし、そこで多くの人と結びつき有効な活動が出来ればこれほど有意義なことはありません。
活動を通じて、どのような感想をお持ちですか。
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棚田が持つ素晴らしい景観を目にし、自然とふれあいながら活動することにより、参加者すべての人が日々のしがらみから解放されているように見え、棚田が、いやし・安らぎの場となっていることを強く感じています。

お子さんを連れてお弁当持参で来られるお母様方も多く、お弁当を一緒に食べる、ただそれだけのことでも大変満足して帰っていかれる姿を目にすることは非常に心地よいものです。現在では、お金を出せばあたりまえのように食料が買える時代ですが、棚田では、総合学習の一環として自分の手で育て収穫するという体験ができる上に、子供達が自然の美しさを身近に感じ取ることができるのです。

活動の中で子供達に対しては、滋賀県にはこのような美しい棚田があるということを思い出として残していきたいと考えています。故郷の美しい景色や自然の中で遊んだ思い出は、大人になってもいつまでも記憶に残り決して忘れないものです。
私自身も砂丘で遊んだ記憶は非常に強く残っており、自然の素晴らしさを今でもしっかり覚えています。砂丘ではなく棚田保全という形で自然保護の活動をしていますが、その根底にあるのは幼い頃の思い出です。この会に子供達が多く参加し、里山の風景の中で遊んでいる姿を見ると、この会を立ち上げて本当に良かったと思います。
今後の夢をお聞かせください。
棚田のある里山の美しい風景を保全しながら、本来の姿である稲作をすることが夢です。また、県内にとどまらず全国的に棚田が、いやし・安らぎの場であるということを発信していきたいと考えています。そして高島町の棚田を一人でも多くの方に見ていただきたいですね。

「棚田100選」に選ばれたことを契機に立ち上げたこの会の活動を、今後も地元の方と協力しながら地道に続けていきたいと考えています。
(2003年2月取材)
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