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上原初美さん、中村慶子さん、太田直子さん

植西恒夫さん
紺喜染織 植西恒夫さんを訪ねて
今回は、正藍染(しょうあいぞめ)を家業とされている「紺喜染織」を訪れ、当主の植西恒夫さんに正藍染の魅力と、そこにかける思いについてお聞きしました。

ただ、仕事をずっと続けてきただけ、それが結果的に伝統とよばれるようになった
【お問い合わせ先】紺喜染織
住  所 :〒520-3201 滋賀県湖南市下田1530
電  話 :0748-75-0128

正藍染について教えてください
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 「藍染」という名前の通り、植物の藍を原料に綿・絹・麻などを染めます。紺喜染織では、染める色にこだわるため原料である藍の栽培から行っています。収穫した時点での藍は他の植物と同じ緑色をしているのですが、乾燥させると葉だけが青くなります。乾燥した葉を数ヶ月かけて発酵させ、それを球状にします。その後、水がめで発酵させた染め液を作り、ようやく染色が出来る状態になります。
 この染め液の温度管理が一番大変であり、温度によって染まり具合が左右されてしまいます。寒くなりだすと、水がめの回りを火で温め、煮やさず冷やさず保温状態を保つように気を配っています。
 染色は複数の染め液で行い、薄い液から濃い液へと水がめを変えて予定の色になるまで繰り返し染めていきます。染め液は色がつきにくくなるまで使い、色がつきにくくなると新たな染め液を一から作成します。

紺喜染織の歴史を教えてください
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 現在、この地域で正藍染を行うのは一軒だけとなってしまいました。化学繊維の台頭やライフスタイルの変化から需要が減 り、一軒、また一軒と自然消滅のようにやめていかれました。化学繊維でも染めはできそうかと思われるのですが、染まりが悪く、藍染には不向きでした。
 そういった時代にあって、私どもも父親の代で家業を辞めようかという話にもなりましたが、幾分当時は働き口も今ほど充実しておらず、長男、長女は親がしてきた家業を継ぐというのは半ば当然でした。また、本来の紺屋が染めしかしていなかったのに対し、紺喜染織では織物の販売も行っており、織り屋や消費者の需要がある限りは仕事が無いという状態にはならなかったのです。しかし、物価の上昇などの社会背景から織りの作業賃金も上がり、続けることが苦しい状態となりました。そして、織機を購入し、遂に藍の栽培から織りまでの全てを自前で行なうようになりました。

伝統を守ることへの思い

 私は伝統を守るためにこの仕事を続けているわけではありません。ただ、仕事をずっと続けてきただけで、それが結果として伝統と呼ばれるようになっただけだと考えています。このやり方にこだわって来たというわけでもなく、ただ私の知っているやり方がこの昔ながらの方法であっただけにすぎないのです。
 現在、この昔ながらの方法を伝承する後継者は居ない状況です。恐らく私どもの代で最後になると思います。「続けて欲しい」という有難い声を頂くのですが、こればかりはどうにもなりません。伝承という形ではないですが、藍染体験というものを開き、多くの方に藍染を知り、触れて頂く場を設けています。

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原料の藍 乾燥させた葉を数ヶ月かけて
発酵させ球状にしたもの
水がめで発酵させた染め液 薄い液から濃い液へと
繰り返し染めていきます
photo 色がつきにくくなると
新たな液を一からつくります
藍染体験について教えてください
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 始めるようになったきっかけは、見学者からの一言でした。作業風景を見学に来られた方が、私の作業を見て「私も体験してみたい」、「私も染めてみたい」と言われました。そこで、Tシャツやハンカチなどの白い製品を藍染する体験をしていただこうと考えました。
 藍染体験には一般のお客様の他にも、校外学習で小学生も来るようになり、今では他府県の小学校からも体験に来るようになりました。子供たちもオリジナル作品を作ろうと一生懸命になり、楽しんでくれていますので大変うれしく感じています。
 藍染体験に来られた方には、緑色をした藍の葉から青の色素が出てくるという不思議な現象に触れて頂き、自然の神秘に興味を抱いていただければありがたいです。

今後について
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 特に真新しいことを始めるということは考えていません。この仕事を行っていますと、様々な人と出会うことが出来ます。私はそういった人との出会いが楽しいから、この仕事を続けてこられたのかもしれません。とにかく今やっている内容を体が動く限り、続けていきたいと考えていますので、紺喜染織へ是非お越しいただき、藍の不思議な世界を体験してみて下さい。

(2008年9月取材)
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