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絵本作家 藪内 秀美さんを訪ねて
今回は、近江八幡市在住の絵本作家、藪内秀美さんをお訪ねしました。2年前に「みどりと絵本の企画舎WindNote」を立ち上げられ、琵琶湖の生き物・自然をテーマにした環境カルタ「みず・みどり・みんなイキイキ元気カルタ」を作られたり、子供たちにモノづくり教室を展開されています。それらについてお話を伺いました。
藪内 秀美(やぶうち ひでみ)
1964年生まれ。環境教育に興味を持ち、つくる楽しみ・育てる喜びを一緒にをコンセプトに「みどりと絵本の企画書Wind Note」 を開設。琵琶湖をテーマに環境カルタ「みず・みどり・みんないきいき元気カルタ」を製作。
■お問い合わせ先 http://www.bcap.co.jp/ww-note/

昨年作られた環境カルタについてご紹介下さい。
滋賀のシンボルである琵琶湖。その琵琶湖に生息する生き物や自然のすばらしさを、4年前に滋賀に移ってきた私が子供たちに楽しく知ってもらおうと、50音順・45枚の絵札にしたものが「環境カルタ」です。『みず・みどり・みんなイキイキ元気カルタ』と銘打ったこの作品は、ヨシ原や里山などの自然の景色や、アケボノゾウ・カイツブリ・ニゴロブナ・セタシジミなどの生き物、そしてその周辺の暮らしについてアクリル絵の具を使って表現し、所々に風景写真なども織り交ぜています。さらにその一枚一枚の裏面には、それぞれの解説文を添えているのが特徴です。実際に絵札は絵はがきとしても利用出来ますので、一つのカルタで遊ぶ・学ぶ・伝えることができます。
もともと私は、大阪生まれの大阪育ちですが、幼い頃親戚がいる三重県に度々遊びに行っていたおかげで、自然のすばらしさを肌で感じて育ちました。虫を獲ったり山菜を採って食べたりと、記憶に残っているのは、山菜のにおいであり、蛍が飛び交っていた澄んだ川でした。そして縁あって4年前に滋賀に移り住み、その中心である琵琶湖という素晴らしい自然に出会いました。

すると、大阪にいたときも琵琶湖の水を飲んでいたんだなと思い出し、今も琵琶湖の水を飲んでいるんだなとふと思った時、そこに生息する生き物もみんな同じ水で育っているんだとつくづく思ったわけです。そこで、琵琶湖に棲む生き物や環境について興味をもち、自分自身学んでみたいと思い、琵琶湖博物館を何度も訪ねいろんな分野の学芸員の方々からそれぞれの専門分野のお話を伺ってみると、不思議なことに全ての生き物は何らかの形で琵琶湖の中で繋がっていることに気付きました。

そしてこれを自分だけ知っているのはもったいないと感じ、是非子供たちにも知らせたい、それも楽しみながらできればと考えてカルタをつくることになったのです。
なるほど、環境カルタは藪内さん自らも楽しんで学んでいこうというものですね。
それでは、「みどりと絵本の企画舎Wind Note」ではどのような活動をされているのでしょうか。
滋賀に来て、自然がいっぱいの、この環境を活かして何かできればと思い、「つくる楽しみ・育てる喜びを一緒に」をコンセプトに2年前に立ち上げました。活動の場を県内におき、子供から大人までを対象に絵本づくりやガーデニングを通して「人と自然のコミュニケーション」を提案しています。

絵本づくり教室では、自然豊かな公園やキャンプ場で、自然を楽しみながら周りにある落ち葉や木々を使い、参加者それぞれが自由な発想で個性溢れる作品を作っています。

またガーデニング教室では、まず自分で植える鉢に絵を描いて、その自分の鉢に愛着をもってもらい、苗を植え付けてもらいます。単に苗を植えるだけでなく、苗にとっての家を作ってあげることで、心をこめて育てて、植物が育つ喜びを共に感じています。

その他に木版画にも取り組んでおり、ただ紙に描くのではなく木に彫るということで、木そのものの素材のあたたかさを体感してもらっています。
以前から絵本作家でいらっしゃったのでしょうか。
いいえ、以前は建築・設計や造園関係の仕事に就いていました。絵本づくりに興味をもったのは二十歳の頃です。ある時、レオ・レオーニ作の『little blue and little yellow』(「あおくんときいろちゃん」)という絵本に出会い、それから絵本の世界に興味を持ちました。その絵本は、言葉で表現するのではなくページを開いていくだけでストーリーが流れ、非常にダイレクトに内容が伝わってくるというもので、そのおもしろさにかなり心が動かされ、自分も何かを作ることができればと、ずっと思っておりました。その思いが、現在の絵本づくりへとつながったのでしょう。

今の子供たちの周りには、いろいろなオモチャやゲーム機が溢れていて、自然素材そのもので遊ぶ機会はなかなかありません。昔は、竹で作った竹馬や羽子板など、どこにでもある自然のものを使って遊ぶことが出来た時代だったのに、今や場所もなければそのものが失われつつあるのが現状かと思います。

ただ一つ言えるのは、本当はそのようなものや場所、機会があれば、また大人が教えてあげれば、子供たちはすぐに受け入れられるということです。モノづくりや絵本づくりを通してそれがすごくよく分かります。子供たちの持つ豊かな感受性・想像力・発想力に刺激されることが楽しくて活動しているのだと思います。
それぞれの活動で子供たちはどんな反応を示しますか?
子供たちの反応はすごく素直で、感じたままをダイレクトに投げかけてくるので、驚かされてばかりです。

絵本づくりでは、子供たちに作り方を説明すると、すぐにストーリーを考え、描き始めます。絵も自由でのびのびしていて、大人よりも早く完成させます。できあがった絵本を見てみると動物と太陽が鉄棒をしている絵を描く子供や、蜂が登場してきて、蜂が眠るときには触覚という帽子を取って寝ている姿を描いています。すごい発想ですよね!

カルタで遊んでいても、疑問があると当たり前とは思わずに、ごく普通に質問してきます。例えば、「あ」について、これは多賀町で化石が見つかったアケボノゾウの「あ」なのですが、これを子供たちは、「滋賀県に象がいたなんて考えられない!」と訴えてくるんですよ。また「ん」の札に昭和初期の琵琶湖湖岸での洗濯風景の写真があるのですが、湖に浮かべた『たらい』に乗って洗濯をしている姿を見て、「ボクもたらいに乗って洗濯してみたい!でも流されたらどうしよう?」って言うんですね。一枚の絵札から大人には想像もつかない発想が出てきて、大変刺激を受けております。
最後にこれから子供たちに伝えたいこと、今後の夢をお聞かせ下さい。
カルタ・絵本づくりを通して、子供たちに琵琶湖やその周囲の自然環境のすばらしさを身体で実感して楽しく学んでもらい、もっともっと自然の深さ、おもしろさを知ってほしいと願っています。

また大人も遊びながら、滋賀の自然をそれぞれが感じるがままに楽しめるよう、今後もいろんな活動に取り組んでいきたいと思っています。
環境カルタでは他府県の市町村にも興味を持っていただいているようで、問い合わせがあります。今後は他府県の方々とも交流を深め、いろいろな地域の環境カルタ作成にお手伝い出来ればとも考えており、夢はまだまだ膨らむばかりです。
(2002年5月取材)
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